【大学不登校の現実】復帰率14%。進学は「リベンジ」か「延命」か?

卒業の壁が、小中学校より「圧倒的に高い」3つの構造的理由

「せっかく頑張って大学に入ったのに、また行けなくなってしまった」 「休学を繰り返しているけれど、このまま籍を置いておけばいつか戻れるのだろうか」

小中学校での不登校を経験したお子さんを持つ親御さんにとって、大学進学は一つの「リベンジ」であり、希望の光だったはずです。「大学に入れば、新しい環境で過去がリセットされる」「今度こそ、普通に笑って通えるようになる」。そう信じて、学費を払い、送り出したのではないでしょうか。

しかし、現実はあまりにも残酷です。 今日は、嘉悦大学の白鳥成彦教授による衝撃的な調査結果と、なぜ大学が不登校経験者にとって「死の谷」になってしまうのか、その真実をお伝えします。


1. 14%の壁。卒業できるのは「わずか1割強」

嘉悦大学・白鳥教授の調査によると、大学で不登校が始まった学生のうち、無事に復帰し卒業できるのは、わずか14%という結果が出ています。

残りの8割以上は、退学するか、休学を繰り返した末に退学予備軍となる。つまり、一度大学に行けなくなると、そこから自力で這い上がるのは、小中学校の時よりもはるかに「狭い門」を通らなければならないということです。

この数字は他の国立大学の調査でも「2割未満」という同様の結果が出ており、残念ながらほぼ間違いのない現実です。

なぜ、あんなに勉強して入った大学で、これほどまでに挫折が連鎖するのでしょうか。そこには、小中学校とは根本的に異なる、大学特有の「3つの構造的欠陥」があります。


2. 大学が「死の谷」になる構造的理由

① 担任がいない(放置という名の自由)

小中学校や高校までは、たとえ不登校であっても「担任の先生」という、本人の状況を把握しようとしてくれる存在がいました。しかし、大学には担任はいません。 講義を休んでも、誰も電話をくれません。誰とも話さず帰宅しても、誰も気に留めません。「自由」という名の「無関心」の中で、一度リズムを崩した学生は、簡単に社会の隙間に滑り落ちてしまいます。

② 固定のクラスメイトがいない(孤立の加速)

大学は講義ごとに教室もメンバーも変わります。不登校を経験し、対人スキルに自信がない学生にとって、自ら積極的に話しかけなければ「知り合いゼロ」の状態が数ヶ月続きます。 「一人のほうが楽だ」と思っていた子が、いざ体調を崩したり、レポートで困ったりした時、助けを求める相手が誰もいない。この孤立が、絶望感を加速させます。

③ 対人ストレス耐性の低下(コロナ禍の影響)

前の記事でも触れましたが、今の大学生はコロナ禍で「対人関係の摩擦」を経験せずに大人になっています。 ちょっとした失敗、教授からの厳しい一言、周囲の視線……。これらに対する耐性が極端に低いため、一度「行きたくない」という感情が芽生えると、それを打ち消すほどのエネルギーを自分の中から生み出すことができません。


3. その進学は「リベンジ」か、それとも「延長申請」か

ここで、親御さんに問いかけてほしいことがあります。 お子さんは本当に、その学問を学びたくて大学に行きましたか?

お母さん、お父さんの生の声を聞いていると、二つのパターンが見えてきます。

  • リベンジ入学: 大学で輝くことで、これまでの不登校という「黒歴史」を消し去りたいという動機。
  • 思考停止入学: 「大学くらい出ておかないと将来困る」という親のトラウマを押し付けられ、自分で何も考えずに進む動機。

どちらも、大学でやりたいことが目的ではなく、「社会に出るのが怖いから、学生という身分を4年間延長したい」という延長申請に過ぎないケースが多々あります。

「すみませ~ん、4年延長で~」という感覚で入学した子が、一人で履修を組み、孤独な講義をこなし、就活の壁に立ち向かえるでしょうか。答えは、この「14%」という数字が示しています。


4. 今、親がやるべき「自立への再設計」

もし今、お子さんが大学に行けていない。あるいは、かろうじて通っているけれど限界が見えているなら。

「卒業」をゴールにするのを、一度やめてください。

14%という狭い門を、無理やりこじ開けようとして親子で疲弊するのは得策ではありません。大切なのは、大学の学位を取ることではなく、「大学を中退しても、あるいは休学中でも、生きていける力をつけること」です。

圧倒的な「情報」と「ノウハウ」の欠如を埋める

大学不登校の問題は、これまでの支援の延長線上では解決しません。

  • 大学というシステムをどう活用(あるいは辞退)するか。
  • 中退後のキャリアをどう描くか。
  • 「学歴」という呪縛から、親と子がどう脱却するか。

この問題には、圧倒的な「情報」と「戦略」が必要です。

入学してしまったのは、もう仕方ありません。ここからどうするかです。 お子さんを「自立できる子」にしたいなら、まずは親であるあなたが、学歴というトラウマを捨て、現実的な「生存戦略」を学び始めてください。


5. まとめ:未来は「卒業証書」の中にはない

大学卒業は、自立の条件ではありません。 14%の枠に入れなかったとしても、お子さんの価値は1ミリも変わりません。

むしろ、挫折した今の時期こそが、本当の意味での「自分の人生をどう生きるか」を考えるチャンスです。お母さんが気づき、視点を変えれば、お子さんの未来は必ず動き出します。

次は、不安定な大学生の心を安定させるための「承認の技術」についてお伝えします。


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