「今の大学には馴染めないから、もう一度受験し直して、別の大学に行きたい」不登校で部屋に引きこもりがちだった我が子から、突然こんな前向き(に見える)提案をされたら、お母さんはどうしますか? 「次こそは頑張って通ってくれるかもしれない」「本人がやる気になっているなら、お金を出してでも応援すべき?」と、一縷の望みを託したくなりますよね。
しかし、ここで大手を振って賛成するのは非常に危険です。 客観的なデータとこれまでの支援経験から言わせていただくと、「何が無理で、次の大学に何を求めているのか」が100%明確になっていない再受験は、お金と時間をドブに捨てる「エンドレスな現実逃避」になる可能性が極めて高いのです。
1. 子どもの「受験し直したい」は、単なる現実逃避かも?
お母さんに「お子さんは、今の大学の何が嫌で、次の大学のどういう環境なら通えると言っていますか?」と質問すると、多くの親御さんが「ええと、人間関係が合わないとか、雰囲気が嫌だとか……そこんとこは、あんまりハッキリしなくて……」と口ごもります。
親がハッキリ答えられないということは、本人の中頭の中でも「ぼや~っ」としている証拠です。 実は、子どもが別の大学に行きたいと言う本当の理由は、「今の大学で行き詰まっているカッコ悪い自分」をリセットしたいだけのことが多いのです。 受験勉強という“正当な理由”を手に入れれば、大学に行かずに部屋にこもっていても親から責められずに済みます。 この「曖昧なリセット癖」を許してしまうと、仮に次の大学に合格したとしても、最初の人間関係のつまづきや、講義の退屈さに直面した瞬間、全く同じ理由でまた不登校を繰り返すことになります。
2. 再受験を認める前に、親子で徹底すべき「リサーチ条件」
お金も時間も無限にある家庭なら、何度やり直してもいいでしょう。 しかし、そうではないはずです。 もし我が子の「リセット要求」に向き合うのであれば、親は次のことを子どもに厳しく問いかけ、徹底的にリサーチさせてください。
- ① 「何が無理だったのか」の言語化: 「なんとなく」は禁止です。 「大教室の講義が苦痛」「〇〇のサークルの雰囲気が合わなかった」「通学時間が長すぎて体力が持たなかった」など、具体的な拒絶理由を書き出させます。
- ② 次の大学が「それをクリアしているか」の証拠集め: 「次の大学なら大丈夫だと思う」という勘は無視します。 「少人数制クラスが徹底されている」「通学時間が半分になる」「通信制と併用できる」など、前の大学の課題を解決できる具体的なカリキュラムや環境を備えている大学はどこなのか、本人に徹底的に調べさせ、プレゼンさせてください。
- ③ 期限と費用の限界を設定する: 「受験チャンスは今年1回限り」「学費は前の大学の分と相殺だから、今回は自分で一部奨学金を借りること」など、リセットには相応のコストと責任が伴うことを事前に約束します。
3. 厳しい現実直視が、本当の成長を生む
親がこのリサーチを求めると、単なる現実逃避で「受験し直したい」と言っていた子は、途中で調べるのを面倒くさがったり、諦めたりします。 その程度の中身であれば、再受験させなくて大正解です。 逆に、本気で自分の課題に向き合い、調べてレポートを出してくるようであれば、その時は親も本気で応援してあげてください。 逃げのリセットではなく、攻めの選択に変えること。 それこそが、親の役割です。

子どもの「大学を変えたい」という言葉への対応に迷ったら
我が子の提案が「前向きな挑戦」なのか「単なる現実逃避」なのか、見極めるのは難しいものです。 NPO法人社会復帰支援アウトリーチでは、客観的な第三者としてお子さんの本音を引き出し、本当に適切な進路を導く個別面談や、大学生不登校支援プログラム「レコペン」を提供しています。 ぜひご相談ください。
「今日は大学行くの?」その一言、子どもを心配しているのではなく、お母さん自身の「不安を消したいだけ」の八つ当たりです。
