二兎を追う者は一兎をも得ず!不登校経験のある大学生が「就活」と「卒業」を同時に追ってはいけない理由

「せっかく大学に入ったんだから、留年せずに卒業して、みんなと同じように就職活動も頑張ってほしい」……親として、ごく当たり前の願いのように思えるかもしれません。 しかし、不登校や行き渋りの過去を持つ子どもたちにとって、この「卒業と就活の同時並行」は、文字通り人生を破綻させかねないほどの超高難度のミッションであることをご存じでしょうか。

ことわざにもある通り、「二兎を追う者は一兎をも得ず」です。 就活というウサギと、卒業(単位取得)というウサギは、どちらもピョンピョンと素早く逃げ回ります。 健康でエネルギー満タンな学生ですら、両方を捕まえるのは大変なこと。 過去に不登校でエネルギーが枯渇した経験のある子が、2羽同時に捕まえられるわけがないのです。

1. 大学に入っても、子どもの特性は魔法のように変わらない

お母さんの中に、「大学に進学できたんだから、もう過去の不登校の弱さは克服したはず。これくらいは出来るだろう」という甘い期待はありませんか? はっきり言いますが、大学に入ったからといって、子どもの心の特性や処理能力が突然レベルアップするわけではありません。 ストレス耐性やエネルギーの総量は、まだ回復の途上にあるのです。

それなのに、周りの同級生がリクルートスーツを着て動き出すのを見て、親が「あなたも早くエントリーシートを書きなさい」「単位も落とさないでね」と急かすと、子どもはキャパシティオーバーを起こします。 結果として、就活のプレッシャーでうつ状態になり、せっかく順調だった大学の講義すら行けなくなり、卒業も就活も両方とも手放してしまう……という最悪の結末を招きやすいのです。

2. 「まずは一兎!」徹底した割り切りが、確実な未来を作る

もし子どもを潰さずに、社会へ軟着陸させたいのであれば、親が先頭に立って「今は1羽のウサギに集中しよう」と割り切る覚悟を見せてあげてください。 戦略の基本は、以下のステップです。

  • まずは「卒業(単位取得)」に全力を注ぐ: 就活はいつでも始められますが、大学の単位は今しか取れません。 まずは無事に卒業すること、毎日通って単位を積み上げることにエネルギーを100%集中させます。
  • 就活は「留年覚悟」「あとから」でいい: 周りが内定をもらっていても、一切無視してください。 「うちは単位の見通しが立つまで就活はしなくていい。必要なら就職浪人したって、既卒で就活したって構わない」と親が断言してあげることで、子どもは目の前の勉強に集中できます。
  • エネルギーの温存を最優先する: 1つずつ階段を上る方が、結果として近道になります。 一歩ずつクリアしていくことで、子どもの中に「自分はできた」という自己効力感が育ち、それが次の就活の大きなエネルギー源になります。

3. 「普通のレール」から外れる勇気が、子どもを救う

新卒一括採用という日本の「普通のレール」に我が子を無理やり乗せようとしないでください。 大切なのは、周りと同じ時期に就職することではなく、子どもが「自分の足で社会に立てる状態」を維持することです。 焦らず、まずは目の前の単位という一羽のウサギを、優しく確実に捕まえるサポートをしてあげましょう。

就活と学業のバランスで潰れそうな大学生の親御さんへ

周囲の就活スピードに焦り、家庭内で衝突が増えていませんか? NPO法人社会復帰支援アウトリーチでは、大学生の不登校・キャリア支援プログラム「レコペン」を通じて、個々のペースに合わせた卒業・就労サポートを行っています。 また、親御さんが焦らないための個別相談も実施中です。

「今の大学が嫌だから受験し直したい」という我が子の言葉。本人の頭の中が“ぼや〜っ”としたまま再受験させたら、間違いなく100%同じ理由でまた不登校になります。

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