不安を消そうとするほど、不安は暴れ出す
「将来が怖い」「この先どうなるか不安で動けない」 相談室で繰り返されるこの言葉に対し、私は「それは極めて自然な反応です」と答えます。
そもそも、将来とは「誰も見たことがない景色」です。何が起きるか分からない状況を前にして、平気でいられるほうが生存戦略としては異常。恐怖を感じ、足がすくむのは、あなたの本能が「得体の知れないものから身を守ろうとしている」健全なアラートなのです。
多くの人は、この「怖い気持ち」を邪魔なものとして消そうとします。しかし、感情には「排除しようとすればするほど、抵抗して強くなる」という性質があります。
例えば、教室の中からあなた一人を無理やり消そうとすると、あなたの心に強い抵抗が起きるはずです。怒ったり泣いたり、しがみついたりして。感情も同じ。消そうとするから、消されまいと暴れるのです。
「怖いまま」でいることを自分に許す
現状を打破するために必要なのは、不安を消すことではありません。「不安を抱えたまま、横に置いておく技術」です。
まずは、自分の心に向かってこう言ってください。 「怖がっていいよ」「不安になってもいいよ」 心の中でつぶやいても、一人の時に口に出しても構いません。
ここで絶対にやってはいけないのが、「不安だけど、やらなきゃいけない」と自分に言い聞かせること。「やりたい」というアクセルと、「怖い」というブレーキを同時に全力で踏んでいる状態。これが最も精神を消耗させます。疲れ果てて動けなくなるのは当然の結果です。
究極の選択:なだめるのはどちらか
アクセルとブレーキがせめぎ合っているとき、私たちができるのは「どちらかの感情をなだめること」だけです。
- 「やりたい気持ち」をなだめて、今は進むことを諦める
- 「怖い気持ち」をなだめて、震えながらでも一歩踏み出す
どちらを選んでも正解です。大事なのは、無理に感情を殺すのではなく、なだめて「納得させる」プロセスです。
もし、あなたが「本当はこうなりたい」という方向に進みたいのであれば、まずは「怖い自分」を否定せず、その同居を認めることから始めてください。感情を消そうとする無駄なエネルギーを、前進するためのエネルギーへ転換する。それが、生存本能と共生しながら未来を創る唯一の戦略です。

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