――「見守り」と「放置」の違いを知らないと回復が遅れる
はじめに
ひきこもっているわが子を前にすると、
「干渉しすぎてもダメ」「でも放っておいてもダメ」
そんな難しいバランスに悩む親御さんがとても多いです。
アウトリーチの相談でも必ず出るのが、
「見守っているつもりなんですが…これで合ってますか?」
という質問。
そして残念ながら、
多くの親御さんが「見守り」と言いながら、
実際には “見守りになっていない” ケースが本当に多いのです。
見守りのつもりが
・プレッシャー
・監視
・期待の圧
として伝わり、
本人をさらに追い詰めてしまうこともあります。
今日は、
本物の“見守り”とは何なのか?
どうすれば「放置」と間違えずに関われるのか?
を丁寧に言語化していきます。
■ 「見守り」と「放置」は全く違う
▼ 親がよく言う“見守り”
- 干渉しない
- あまり声をかけない
- 自分の生活をしている
- 本人のタイミングを待つ
これだけ聞くと正解のように見えますよね。
でも実は、この状態は
本人側では“放置”に感じられていることがあります。
▼ 本人が感じる“放置”
- 「自分なんてどうでもいいんだ」
- 「家族の中で一番の問題者」
- 「迷惑だから触れられないんだ」
- 「存在を避けられてる気がする」
親の“静かに見守っている”つもりが、
本人には「見捨てられた」と感じられることがあるのです。
同じ“言葉をかけない”でも意味が違う。
ここが分かっていないと、
親の努力と本人の受け取り方がズレてしまいます。
■ 本物の“見守り”に必要な3つの要素
① 「気配」が優しい
見守りは、
言葉ではなく “気配” で伝わります。
- ドアをそっと閉める
- 静かな足音
- 朝のバタバタを減らす
- 親同士の会話のトーンを柔らかくする
これができている家庭は、
本人が「安全だ」と感じやすくなり、回復が早い。
逆に、
言葉をかけていなくても
ため息・怒った足音・生活音の荒さ
があるだけで、本人は“見守られていない”と感じます。
② 「期待」を乗せない距離
見守りのつもりでも、
心のどこかに
- そろそろ動いてほしい
- 夜型を直してほしい
- 返事くらい返してほしい
- 生活リズムを整えてほしい
という“期待”があると、
本人はその空気を感じ取ります。
ひきこもり状態の人ほど、
親の期待に敏感。
見守り=期待しない距離
と言っても過言ではありません。
③ 「安心できる一言」を時々だけ
本物の見守りは、
“言葉を減らす”だけではありません。
少ない回数でいいので、
安心が伝わる一言があると、
それは見守りそのものになります。
◎「お昼置いておくね」
◎「今日は静かにしてるね」
◎「ゆっくりで大丈夫だよ」
◎「元気でなくても大丈夫だよ」
この“優しい一言”が、
沈黙のなかで本人の心を支える力になります。
■ 見守りが「放置」に変わる危険なサイン
✖ 親が現実逃避している
親自身がしんどいとき、
距離を取る=逃げる
になってしまうことがあります。
本人はその空気を敏感に察知するため、
「家族はもう自分に関わりたくないんだ」
と感じ、さらに殻に閉じこもります。
✖ 家族内に温度差がある
母は優しいが、父が怒る。
父は静かだが、兄弟がイライラする。
この“家庭内のズレ”は、
見守りではなく 混乱になります。
混乱の家では、
本人は「外の世界より家のほうが危険」と感じてしまうことすらあります。
✖ 気配が冷たい
話さないだけでなく、
- ドアを強く閉める
- ため息ばかり
- 重たい空気
- 足音が荒い
これは全て“拒絶”として伝わります。
沈黙でも、空気が冷たいと 放置。
沈黙でも、空気が柔らかいと 見守り。
この違いはとても大事です。
■ 今日からできる「本物の見守り」3ステップ
★ ① 言葉を減らして、安心を増やす
言葉は少なく、でも優しさは消さない。
◎「ここに置くね」
◎「ゆっくりで大丈夫だよ」
◎「今日は静かにしてるね」
このレベルで十分。
★ ② 家の“音”を変える
見守りの本質は 音の優しさ にあります。
- 生活音を少し静かに
- ドアをゆっくり閉める
- 親同士の会話トーンを柔らかく
- ため息を出す回数を減らす意識
音が変わると、
本人は必ず“安全”を感じ取り始めます。
★ ③ 親自身が安心できる場所を持つ
親が不安でいっぱいだと、
沈黙は“張りつめた沈黙”に変わります。
親が安心していると、
沈黙は“優しい空気”に変わります。
これは本当に顕著。
親が安心
↓
家の空気が優しい
↓
本人の緊張がゆるむ
↓
小さな行動が増える
↓
回復が始まる
見守りとは、
家の空気を整える技術 です。
■ あなたは間違っていない
見守るって本当に難しい。
言わなければ放置と言われ、
言えば干渉と言われ、
沈黙すれば不安になる。
でも大丈夫。
今日のあなたの「気づき」だけで、
きっと明日の家の空気は変わります。
あなたの静かな見守りは、
子どもにとって何よりの安全基地です。
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■ 最後に
“見守り”は技術です。
最初からうまくできなくても大丈夫。
あなたの今日の変化が、
子どもの回復を静かに動かし始めます。

