アウトリーチが、あえて答えを出さない理由

――答えが出た瞬間に、関係が止まることがある――

「で、結局どうすればいいんですか?」

相談の場で、
この問いが出てくることがあります。
それは、とても自然な問いです。

早く楽になりたい。
何をすればいいか知りたい。
正解があるなら、教えてほしい。

その気持ちを、
アウトリーチは否定しません。

けれど、
アウトリーチは、
ここですぐに答えを出さない
という選択をします。


答えが欲しいのは、苦しいから

答えを求める背景には、
必ず苦しさがあります。

・この状態がいつまで続くのか分からない
・何が正しいのか分からない
・間違えたくない
・これ以上、遠回りしたくない

だから、
「答え」という形で、
今の不安を終わらせたくなる。

その気持ちは、
とても切実です。


でも、答えが出た瞬間に起きること

アウトリーチの現場では、
何度も見てきました。

答えが示された瞬間、
一時的に空気が軽くなること。

「あ、そうすればいいんですね」
「それなら分かりました」

その場では、
安心したように見えます。

けれど、
しばらくすると、
関係が止まってしまうことがある。

・話題が減る
・本音が出なくなる
・うまくいかなかったとき、戻ってこられなくなる

なぜでしょうか。


答えは「評価」になりやすい

答えが出ると、
人は無意識に、
そこを基準にします。

・できているか
・できていないか
・進んでいるか
・止まっているか

その基準は、
安心をくれる一方で、
評価にもなります。

評価が生まれると、
人は本音を隠します。

「できていません」と言いにくくなる。
「また戻りました」と言えなくなる。

そして、
関係が細くなっていく。


ひきこもりの問題は、一直線ではない

ひきこもりの状態は、
一直線に進むものではありません。

行きつ戻りつ。
少し進んで、また止まる。
安心が増えたと思ったら、崩れる。

この揺れを含めて、
その人のプロセスです。

ところが、
答えが先に置かれると、
この揺れが失敗に見えてしまう。

アウトリーチが
答えを急がないのは、
この揺れを消さないためです。


答えを出さない=何もしない、ではない

「答えを出さない」と言うと、
放置しているように聞こえるかもしれません。

でも、
アウトリーチがやっているのは、
答えを出さない代わりに、問いを保つことです。

・今、何が一番しんどいのか
・何が怖くなったのか
・どこで立ち位置が揺れたのか
・誰の視線に影響されたのか

これらを、
一緒に見続ける。

それは、
とても地味で、
時間のかかる関わりです。


問いを保つと、何が起きるか

問いが保たれている場では、
人は戻ってこられます。

・うまくいかなかったとき
・信じられなくなったとき
・条件を出してしまったとき

「また戻ってしまった」
そう言える場所がある。

それは、
答えがある場所よりも、
ずっと安全です。


アウトリーチが守っているもの

アウトリーチが守っているのは、
正解ではありません。

関係が続く余白です。

・できない日があっても
・揺れた日があっても
・戻った日があっても

ここに戻ってきていい、
と思える余白。

答えを出すことよりも、
その余白を残すことを、
優先しています。


最後に

アウトリーチが、
あえて答えを出さない理由。

それは、
答えを出す力がないからではありません。

答えが、
関係を終わらせてしまうことがある

と知っているからです。

私たちは、
関係が続くほうを選びます。

揺れながら、
迷いながら、
行きつ戻りつしながら。

その途中に、
静かに立ち会う存在でありたい。

それが、
アウトリーチの選んでいる立ち位置です。

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