「正解」を教えないのに、なぜ気づきが生まれるのか

― ひきこもりいきのこりゲームにおけるファシリテーターの役割 ―


支援の現場では、
トラブルや困難な出来事が起きたとき、
どうしても次のような問いが浮かびます。

「どう対応すればよかったのか」
「何が正解だったのか」
「どこで間違えたのか」

支援者として経験を重ねるほど、
“正しく判断すること”
“失敗を減らすこと”
に意識が向きやすくなります。

けれど、
大人のひきこもり支援においては、
この「正解探し」そのものが、
視野を狭めてしまうことがあります。


■ ひきこもりいきのこりゲームは「人生のシミュレーション」

ひきこもりいきのこりゲームは、
ワークショップ型の内省ツールではありません。

すごろくのように、
サイコロを振り、
マス目に書かれた出来事に出会いながら、
ひきこもり家族が生き残るための人生を
仮想体験していくゲーム
です。

そこには、

・突然のトラブル
・思いがけない出費
・家族関係の揺れ
・支援のタイミングのズレ
・「良かれと思った選択」の裏目

など、
現実のひきこもり支援で起きがちな出来事が、
次々に現れます。

重要なのは、
それらが 「笑える形」で起きる という点です。

深刻になりすぎず、
誰かを責めることもなく、
安全なフィクションとして体験できる。

これが、このゲームの大きな特徴です。


■ なぜ「笑いながら」体験することに意味があるのか

現実の支援現場では、
トラブルや失敗は重く受け止められがちです。

「親の対応が悪かったのでは」
「支援のタイミングを誤ったのでは」
「もっと別の関わり方があったのでは」

こうした振り返りは大切ですが、
感情が絡みすぎると、
責任追及や自己否定に傾いてしまいます。

ひきこもりいきのこりゲームでは、
同じような出来事を
あくまでゲームの中の出来事として体験します。

すると参加者は、
「自分の話」と少し距離を取りながら、
出来事そのものを眺めることができる。

笑いが生まれることで、
緊張がほどけ、
「失敗してはいけない」という思い込みも
自然と緩んでいきます。


■ ファシリテーターに求められるのは「解釈の提示」

このゲームにおけるファシリテーターの役割は、
正解を教えることではありません。

また、
感情を深掘りしたり、
参加者を導いたりすることでもありません。

ファシリテーターに求められるのは、
マス目で起きた出来事に対して、
解釈の選択肢を提示すること
です。

たとえば、

「このトラブル、
 “最悪の出来事”とも言えるけれど、
 “これ以上悪化しなかった”とも読めますよね」

「この選択、
 短期的には損に見えるけれど、
 長期的には家族を守っているとも考えられませんか」

こうした声かけは、
結論を押しつけるものではありません。

出来事の意味を一つに固定しないための提案です。


■ 解釈が広がると、対話が生まれる

ゲーム中は、
テンポよく進み、
笑いも起きます。

しかし本当の価値は、
ゲームが終わったあとに現れます。

仮想体験を通して、
参加者の中に
さまざまな「引っかかり」や「気づき」が
自然と溜まっていく。

その状態で行われる対話は、
とても開かれたものになります。

・現実では言えなかった本音
・「うちも似たことがあった」という共有
・「あのとき、こう考えればよかったのかもしれない」という気づき

これは、
最初から対話を目的にした場では
なかなか生まれません。

笑いながら仮想体験したあとだからこそ、
心が開いた対話が生まれる

ここに、このゲームの設計意図があります。


■ ファシリテーターは「意味づけを独占しない人」

ひきこもりいきのこりゲームにおいて、
ファシリテーターは
「正しい読み方」を示す存在ではありません。

むしろ、
意味づけを独占しない人です。

・これは失敗とも言える
・別の見方もできる
・今は判断を保留してもいい

そうした余白を残すことで、
参加者自身が
「自分ならどう読むか」を考え始めます。

その積み重ねが、
現実のひきこもり支援を
少しずつ楽にしていきます。


■ 支援者が一人で背負わなくていい理由

このゲームが
ファシリテーターを必要とするのは、
進行のためだけではありません。

出来事を
「失敗」「成功」で終わらせず、
構造として捉え直す視点を
場に差し込む人が必要だからです。

その役割を、
一人で完璧に担う必要はありません。

だからこそ、
ファシリテーターは
育てる必要があります。


◆ 支援について知りたい方へ

ひきこもりいきのこりゲームを使った支援や、
それを担うファシリテーターについては、
こちらからご覧いただけます。

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https://hikikomoriikinokori.peatix.com/

また、
「この解釈で合っているのか迷う」
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