壁を壊すな。壁の外側を整えよ

――ひきこもりの子どもが動き出す“本当の順番”とは


はじめに

「どう声をかければいいのかわからない」
「いつまで待てばいいの?」
「このまま一生、部屋から出てこなかったら…」

ひきこもっているわが子を前にすると、
親御さんは毎日が不安との闘いになります。

アウトリーチには、そんな親御さんからの相談が続きます。
そして多くの場合、親御さんは“ある勘違い”のせいで、
苦しさを何倍にもしてしまっています。

それは――
**「壁を壊せば、出てくるはず」**という思いこみ。

しかし実際に必要なのは、その逆です。
壁を壊すのではなく、壁の外側を整えること。

この視点を知っているだけで、
親子の関係も、家庭の空気も、
ひきこもりの回復スピードも大きく変わります。

今日は、この“外側を整える”という考え方を中心に、
親御さんが今日からできる関わりを解説していきます。


■ 壁を壊そうとすると、本人はもっと壁を厚くする

ひきこもっている状態を「壁」として捉えると、
多くの親御さんは次のように考えます。

  • 壁を壊せば外に出てくるのでは?
  • 少し強めに背中を押したほうが良いのでは?
  • 厳しく言えば危機感を持つのでは?

残念ながら、これは逆効果になります。

本人が作っている“壁”は、
外の世界から自分を守るための防御壁です。

  • 過去の失敗
  • 人間関係のつまずき
  • 誰にも言えなかった悩み
  • 自信を失った経験
  • 圧倒的な疲労感

こうしたものを抱えたままでは、
外に出ることは本人にとって「危険」なのです。

だから、
壁を壊そうとすると、本人はさらに壁を厚くする。

これは人として自然な反応であり、怠けでも甘えでもありません。


■ 壁の外側を整えると、本人は“勝手に”動き始める

ひきこもりの支援で最も重要なのは、
本人のいる「内側」をいじらないこと。

変えるべきは 外側の環境 です。

壁ゲームでも、本当に大切なのは
「外側のマス」だと強調しています。

では、外側とは具体的に何を指すのでしょうか?


■ 【親が整えるべき外側①】 家の“空気”を静かにする

ひきこもっている状態では、
本人は“人の気配”に極端に敏感になります。

  • 足音
  • ドアの開閉音
  • リビングの会話
  • 親のため息
  • 朝のバタバタ感
  • 帰宅したときの緊張感

これらが本人の「壁を厚くする原因」になります。

親御さんは普通に生活しているつもりでも、
本人にとっては強すぎる刺激になってしまうことがあるのです。

▼ 今日からできること

  • 大きな声で「どうしてるの?」と呼ばない
  • 無理にコミュニケーションを取ろうとしない
  • 生活音を少し静かに意識する
  • 「普通にしているつもり」を一度見直す

これだけでも、
壁の外側の“空気の圧力”は驚くほど下がります。


■ 【親が整えるべき外側②】 親自身の不安を軽くする

親御さん自身の不安は、
家の空気にダイレクトに影響します。

  • 寝ても不安が消えない
  • 将来を検索しすぎて夜眠れない
  • 配偶者と意見が合わずイライラ
  • 自分を責める気持ちが強い

こうした状態は、
意識せずとも家全体を緊張で満たします。

そしてその緊張こそが――
子どもが「外に出られない理由」になります。

▼ 親が安心すると、子どもが動き始める理由

子どもは、親の「心の動き」に非常に敏感です。
親が安心するとその空気が伝わり、
本人の心が少しずつ緩みはじめます。


■ 【親が整えるべき外側③】 家族の“共通理解”をつくる

家庭内で関わり方がバラバラだと、
本人の壁はますます厚くなります。

  • 父母で方針が違う
  • 祖父母が強めに言ってしまう
  • 兄弟姉妹がイライラしている
  • 「早く出てこい」と言う人が家にいる

本人の壁の外側に、
“複数の圧力”がかかる状態は非常に危険。

▼ 今日からできること

  • 家族会議を短く定期的にする
  • 「焦らせない」方針を共有する
  • 外部の支援者を間に入れてもOK

外側の環境が統一されると、
本人はゆっくりと“外の安全”を感じ始めます。


■ ひきこもり初期は「何もしない」のが最大の支援

親御さんは「何かしなきゃ!」と感じがちですが、
ひきこもり初期に必要なのは
“何もしない勇気” です。

  • 正論を言わない
  • 励まそうとしない
  • 比べない
  • 予定を聞かない
  • 将来の話で追い詰めない

これは「放置」ではありません。
回復に必要な“静かな環境”をつくる行動です。

壁の外側が静かになっていくと、
本人は、ほんの少しだけ壁の隙間を開け始めます。


■ そして、壁が薄くなるのは“内側から”だけ

ひきこもりの子どもは、
ある日突然元気になるわけではありません。

でも、
親御さんが「外側を整えている」と、
ある日ふと、子どもが小さく変化します。

  • ちょっと返事が返ってくる
  • お風呂の回数が増える
  • カーテンを開ける
  • 親の近くまで飲み物を取りに来る
  • 生活音への反応が弱くなる

これらはすべて、
壁が“内側から薄くなっているサイン”です。

外側を整えることは、
この変化を引き出すための
もっとも効果的な関わり方です。


■ 不安を一人で抱え込まないで

ひきこもり支援において、
「親が孤立している状態」は最も危険です。

自分を責める必要はまったくありません。
ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。

アウトリーチでは、
親御さんが安心できるための窓口を用意しています。


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■ 最後に

壁を壊す必要はありません。
外側を整えることで、
本人は必ず“動ける日”に向かって歩き始めます。

あなたの今日の一歩が、
家族の未来を静かに、確実に変えていきます。

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