――攻撃でも否定でもない。「無意識の刺激」が子どもの壁を厚くする
はじめに
ひきこもっているわが子を前にすると、
親はどうしても自分を責めたり、逆に子どもを責めたりしてしまいます。
「どうしたら出てきてくれるの?」
「話しかけても返事がない」
「声をかけるほど距離が広がっていく気がする…」
アウトリーチに寄せられる相談の8割に、
この“コミュニケーションのズレ”が出てきます。
そして、その原因の多くは、
親が悪いわけでも、子どもが悪いわけでもありません。
ただひとつ、
親が無意識に出している刺激に、子どもが耐えられないだけ。
今日は、そこを丁寧に言語化していきます。
■ 「嫌われている」わけじゃない。反応できないだけ
親が声をかけても返事がないと、
どうしても次のように考えてしまいがちです。
- 無視されているの?
- 私のことが嫌いなの?
- もう親として見られていないの?
でもほとんどの場合、
これは誤解です。
ひきこもり状態にある本人は、
親のことを嫌っているわけではありません。
嫌っているのは、
**“責められているように聞こえる空気”**なのです。
■ 親の「普通の行動」が本人には“攻撃”に変わる
親御さんが何気なくやっている行動が、
実は本人にとってとても強い刺激になっていることがあります。
例えば――
- 足音が大きい
- ドアの開閉が強い
- 階段を上がってくる気配
- 朝のバタバタした空気
- ため息
- 夫婦の会話のトーン
- テレビの音
- LINEの通知音
- 親の怒った記憶がフラッシュバックする声色
親からすれば「普通の生活音」。
でも本人はその何倍も敏感にキャッチします。
特にひきこもり初期は、
外からの刺激はすべて“攻撃”として脳が処理してしまう状態にあります。
だからこそ、
親が何もしていないのに“怖さ”が生まれてしまうのです。
■ 刺激に敏感な状態では、「話しかけられる」だけで限界になる
アウトリーチの相談に来る方のなかには、
こんなケースもよくあります。
- 親が部屋の前を通るだけで心臓がバクバク
- ドアの近くに立たれるだけで身構える
- 声かけの「元気?」「おはよう」すら重く感じる
- 誰かが帰宅すると緊張が走る
これは、
本人の心の体力が極端に削られているサイン。
刺激を処理する余裕がゼロの状態です。
この状態で
「話してごらん?」
「どうするつもり?」
「そろそろ動かなきゃ」
と声をかけると、
本人は“受け取れない”ことに苦しみ、さらに壁を厚くします。
■ 親の「不安」と「心配」が、家全体の空気を重たくする
ひきこもり専門支援で最も重要なのは、
親の心理状態が家の空気に直結するという事実です。
親が不安でいっぱいだと――
家は緊張で満たされます。
親が焦っていると――
家の空気がピリつきます。
親が自責で苦しんでいると――
家庭全体が“重たい空気”になります。
その空気の変化に、
本人は誰よりも敏感です。
実は、
本人が部屋から出てこない理由の半分は、
親の心が重たくなりすぎているからなのです。
もちろん、
これは親を責めているのではありません。
あなたが頑張りすぎている証拠です。
■ 親が変わると、子どもは“勝手に”変わり始める
ひきこもり支援の現場では、
こんなことがよく起こります。
親が
- 焦らなくなる
- 不安を下ろせる場所を見つける
- 相談できる相手ができる
- 子どもへの声かけを手放す
- 自分の生活リズムを整える
これだけで、
子どもに変化が出始めるのです。
- 返事が返ってくる
- お風呂に入る
- 食事の回数が増える
- 生活音への反応が薄くなる
- 少し笑顔が戻る
親が“外側を整える”と、
本人は安心して壁を薄くし始めます。
■ 親が今日からできる「刺激を減らす3つの工夫」
★ ① 大きな声かけをやめてみる
声かけは必要最低限でOK。
特に“結果を求める質問”は逆効果です。
×「いつ出てくるの?」
×「どうするつもり?」
×「また寝てるの?」
◎「お昼にスープ置いておくね」
◎「今日は静かにしてるね」
◎「ゆっくりで大丈夫だよ」
“届く言葉”は短く、優しく、圧がない。
★ ② 家の生活音を一段静かにする
ひきこもり状態の人には、
“音の圧”がとても強く感じられます。
- ドアはゆっくり閉める
- 朝のバタバタを減らす
- 用事があるときはメモを使う
- 階段や足音を静かにする
これだけでも、家の空気がガラッと変わります。
★ ③ 親の不安を誰かと共有する
あなたの不安は、あなたのせいではありません。
でも、その不安を抱え続けると、
家全体が重たくなり、その重さが子どもに届きます。
不安を共有できる場所を持つことは、
子どもの回復を支える一番の近道です。
■ 「親が悪い」という話ではない
このブログのタイトルを見ると、
「やっぱり私が悪いんだ…」
と感じてしまう親御さんもいるかもしれません。
でも、それは違います。
あなたが
- 一生懸命だった
- ずっと心配してきた
- 何とかしようと動いてきた
- 愛情があるからこそ焦っていた
ただ、それだけです。
今日お伝えしたのは、
親を責める話ではなく、
**「刺激に敏感な状態の子どもに合った関わり方」**を知ってほしかったから。
あなたが悪いから出てこないのではなく、
家庭の“空気”が少し変わるだけで、子どもは動けるようになる
という希望の話です。
■ 不安は一人で抱えなくて大丈夫
アウトリーチでは、
親御さんが安心して相談できる場所をつくっています。
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■ 最後に
子どもが部屋から出てこない理由は、
あなたのせいではありません。
ただ、
“外の刺激”が強すぎて、出られないだけ。
外側が静かになったとき、
子どもの心は自然と動き出します。
今日のあなたの気づきが、
ご家庭に優しい変化を運びますように。

