社会復帰や就労の話になると、
よくこんな言葉が出てきます。
「もう少し慣れてから」
「状態が落ち着いてから」
「準備ができてから」
一見、とても丁寧で、
正しそうな考え方です。
でも現場で関わっていると、
この「慣れてから」は、
ほとんどの場合、やってきません。
なぜなら、
慣れるための材料が、
日常の中に存在しないからです。
何もしていない状態が続くと、
人はだんだん
自分を説明できなくなっていきます。
「今、何をしている人なのか」
「何ができるのか」
そうした問いに、
答えを持てなくなる。
準備が整っていないから
動けないのではありません。
動いていない状態が続くことで、
準備が整わなくなっていく。
ここが、
多くの支援で見落とされがちな点です。
アウトリーチでは、
在宅ワークを
「準備段階」には置いていません。
在宅ワークそのものを、
支援の一部として扱っています。
理由はシンプルです。
収入がわずかでも生まれる。
役割が一つできる。
社会との接点が戻る。
それだけで、
本人の状態も、
家族との関係も、
大きく動き始めることがあります。
これは、
気持ちが前向きになったからでも、
考え方が変わったからでもありません。
環境が変わっただけです。
もちろん、
在宅ワークは簡単ではありません。
途中で止まることもあります。
継続できないケースもあります。
アウトリーチでは、
それらを失敗として扱いません。
止まることも含めて、
関わりの中で調整する。
その前提があるからこそ、
無理なく続けることができます。
在宅ワークは、
「訓練」ではありません。
関係を取り戻すための、
一つの入口です。
この仕組みが、
自社に合うかどうか。
社会的な取り組みとして
成立するかどうか。
その判断を、
一緒に整理するところから
お話ししています。

