何かを決められないとき、
人はよく「自分の気持ちの問題だ」と考えます。
覚悟が足りない。
気持ちが定まっていない。
まだ本気じゃない。
でも、実際に起きていることは、
それとは少し違う場合があります。
決められないのは、
気持ちの問題ではないことがある。
たとえば、
どれを選んでも、不安が残る。
一つ進めば、別の問題が大きくなる。
動かなければ責められる気がする。
動いて失敗したら、取り返しがつかない気がする。
こうした状態が重なると、
人は自然と止まります。
迷っているというより、
どれを選べばいいのか、比べられなくなっている。
このとき、
「どうしたいの?」
「決めるしかないよ」
と言われると、
余計に苦しくなることがあります。
その人の中ではすでに、
選択肢がうまく並ばなくなっているからです。
どれも重く、
どれも怖い。
家族の中でも、
職場でも、
支援の場でも、
こうした状態はよく起きます。
周りは善意で、
なんとか動かそうとします。
早く決めたほうがいい。
動いたほうが楽になる。
そう思って声をかける。
でも、
比べられないまま
決断だけを迫られると、
関係は静かに壊れていきます。
動けない人が弱いわけではありません。
どれが自分にとって現実的なのか、
見極める余裕がなくなっているだけ、
ということも多いのです。
そこを見落としたまま
励ましたり、背中を押したりすると、
「わかってもらえなかった」という感覚だけが残ります。
まず必要なのは、
無理に決めることではありません。
いま、
何が一番重くなっているのか。
どこで比べられなくなっているのか。
そこを一度、
外から一緒に見直すことです。
判断を急がず、
状況を整理するところから
関わる方法もあります。
決められない状態そのものを、
問題にしない関わり方です。

