「もう少し体調が整ってから」 「自信がついたら、一歩踏み出そうと思う」 「準備ができたら、相談に行きます」

ひきこもり支援の現場で、私たちはこれまでに数え切れないほどこの言葉を耳にしてきました。ご本人の口からも、そして見守るご家族の口からもです。

一見すると、非常に前向きで慎重な言葉に聞こえます。しかし、厳しい現実をお伝えしなければなりません。 「完璧な準備が整う日」は、待っているだけでは永遠にやってこないことがほとんどです。

今日は、私たちを動けなくさせている「準備」という名の呪縛と、その解き方についてお話しします。


1. 「準備」は、動かないための最も正当な理由

「準備ができたら」という言葉は、非常に便利です。 なぜなら、それは「やる気がないわけではない」というアリバイを作りつつ、「今はやらなくていい」という現状維持を100%正当化してくれるからです。

脳が仕掛ける「準備」の罠

新しい世界へ踏み出すことは、誰だって怖いです。脳は、その恐怖(ストレス)からあなたを守るために、必死に「動かない理由」を探します。 そこで脳が差し出すのが、「今はまだ準備不足だ」というもっともらしい言い訳です。

  • 資格を取ってから
  • 人間関係の練習をしてから
  • メンタルが安定してから

そうやってハードルを上げ続けることで、無意識のうちに「動かなくて済む状態」を守り続けてしまう。これが、長引くひきこもりの背景にある「準備の構造」です。


2. 慣れてから動くのではなく、動きながら慣れる

多くの人が、「100の準備をしてから、1の行動をする」のが正しいと思っています。しかし、社会復帰や自律のプロセスにおいて、この順番は往々にして逆転します。

「実戦」こそが最大の準備

泳げない人が、陸の上でどれだけ筋トレをしても、水への恐怖心は消えません。水に入り、少しずつ浮く感覚を掴んでいく中で、初めて「これなら泳げるかも」という自信(準備)が後からついてくるのです。

アウトリーチが提供する在宅ワークや役割は、リハビリではありません。 「準備ができていないまま、いきなり本番の役割を持ってみる」という体験です。

「慣れてから働く」のではなく、「働くという役割を持つことで、社会に慣れていく」。 この順番の入れ替えこそが、停滞した時間を動かす唯一の鍵になります。


3. 「自信」を待つのは、雨が降るのを待つのと同じ

「自信がついたら動けるのに」と仰る方がいます。 しかし、自信とは「何もしない時間」の中には蓄積されません。自信とは、他者からの評価や、自分の行動によって得られた小さな「事実」の集積です。

  • 頼まれたデータ入力を終えた。
  • 誰かに「ありがとう」と言われた。
  • 自分の仕事が、誰かの役に立っていると知った。

こうした「事実」に触れることで、脳は「あ、自分はここにいてもいいんだな」と判断し、ブレーキ(恐怖という感情)を少しずつ緩めてくれます。自信とは、動いた後に、背後にポツポツと現れる足跡のようなものです。


4. 構造が「準備」を不要にする

アウトリーチは、あなたに「準備なしで、勇気を出して飛び込め!」と根性論を言っているのではありません。

準備ができていなくても、自信がゼロであっても、**「失敗しても致命傷にならない構造」**さえ整っていれば、人は動けます。

  • 連絡を代行してくれる翻訳機(アウトリーチ)がいる。
  • 業務が細かく切り分けられ、ミスをカバーできる体制がある。
  • 「できない」と言っても関係が壊れない場所がある。

こうした外側の「構造」を整えることが、私たちの仕事です。あなたの内側に「準備」を求めるのではなく、外側の「環境」を、準備不足のまま踏み出せる形に作り変えるのです。


結びに:中途半端なまま、始めてみませんか

「完璧な準備」を待つことは、止まった時計の前で時間が進むのを待つのと同じです。

もし、あなたが「準備」という言葉に疲れ果てているのなら、一度その言葉を捨ててみませんか。 準備も、自信も、決意もいりません。 ただ、そこにある「小さな役割」に、中途半端なまま手を伸ばしてみる。

その一歩が、どんなに拙くても、立ち止まって準備を続けている10年よりも、あなたを遠くへ運んでくれます。


📢 お知らせ

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